5章

「風香って、あたしより残酷よね」
由衣が一通りの治療を終えて戻ってきた。
「さすがにあれだけ壊してると、治療するだけですっごく疲れた」
と不平を漏らす。
「ごめんごめん、でもあんなに嬲り甲斐がある奴って初めてだったからさ」
と風香。
「顔面は陥没してたし後頭部もへこんでたし、下手すりゃ即死だよぉ」
「二人とも暴力的過ぎるのよ」
と涼子がたしなめるが説得力は無い。
三人はベッドに腰掛けて談笑している。
「とりあえず、こっからは拷問なんだよね?」
と涼子が尋ねた。
「本当は取り調べなんだけどね」
「吐いてもとことん嬲りぬくくせに」
と風香が茶化す。
「もう彼にチャンスは無いんだから、さっさと叩き起こそうよ」
「涼子、欲求不満?」
由衣が笑う。
「だってもう9時過ぎてるんだよ。明日も朝練があるから早く帰りたいのに」
「いいよ涼子、あとは私たちがやるから」
と風香が言う。
「それこそ欲求不満になるわよ」
言って涼子は立ち上がり、ツカツカと影狼の方へ歩いていった。
由衣と風香は顔を見合わせ、涼子のあとについて行く。

「起きてる?」
涼子は仰向けで倒れている影狼の背中に足を差し込むと、そのままひっくり返してうつ伏せにした。
そして爪先で影狼の横顔をコンコンと蹴る。
「お〜い、さっさと起きなよ」
しかし影狼が目を覚ます気配は無い。
「治療したばっかだもん、まだ無理でしょ」
ゴツッゴッ
「起きなさいってば」
涼子が今度はやや強めに蹴る。
しかし影狼は反応しない。
「マジで脳に障害が出たかも」
風香がいまさら不安気につぶやく。
しかし影狼の脳は無事だった。だが、もはや希望が無くなった彼の潜在意識が目を覚ますことを拒否していたのだ。
涼子は無言で影狼の傍らに屈みこむと、だらしなく投げ出されている右腕の中指を握った。
「起きなさいよ」
と言って一気に指を反らした。
バキッ
骨は簡単に折れた。
「があっ」
「お、起きた」
風香が拍手した。
影狼は薄く目をあけたが、咄嗟には状況を理解できない。
この二日で、死んでもおかしくないような暴力を三度も受けている。
しかしそのたびに回復した状態で目を覚ます。
「起きなさいってば」
ボキッ
「ぅぁが」
涼子は中指に続いて人差し指の骨も折り曲げた。
「起きてんじゃん」
風香が笑う。
「だって、返事しないもん」
言って今度は折れにくいはずの親指を片手で優しく包み込み、同じように一気に折り曲げる。
ガッキッ
「ぁぅ」
涼子は無表情に残りの薬指と小指をまとめて握る。
「起きてる?」
「だまれ・・・」
影狼が呟く。
グキュンッ
少し大き目の複雑な音。
「あぐっ」
涼子は影狼の指を二本まとめてへし折ったのだ。
続いて薄い笑みを浮かべて、両手で影狼の手首を握る。
「ねぇ、もう起きたかな?」
激痛に顔をしかめながらも、影狼は無言で涼子を睨みつける。
たとえもう絶望しか無くとも、こんな小娘に従うのは嫌だ。
涼子は勢い良く手首を折り曲げた。
グキッッン
があぁぁぁっ
指とは比べ物にならない激痛、しかし声を上げなかった。
「強い強い。よく声を出さなかったね」
腕はじんじんと熱を持ち、右半身が焼けるようにチクチクする。
痛みも波紋のように全身に広がっていく。
「で、そろそろ起きたのかな?」
と涼子は影狼を覗き込み、膝で彼の肘を押さえつけ、両手で前腕部を掴む。
「アンタも、はやく返事した方がいいよぉ。涼子は徹底的にサドだからさ」
風香が忠告する。
黒髪のロングヘアで肌も白く、清楚な雰囲気を醸し出す涼子。しかしやってることは誰よりも陰湿だ。
「で、どうなの?起きたの?返事は?」
「死ね」
影狼が吐き出すように言うと、涼子はその白い膝で押さえつけた肘を支点に、影狼の腕を逆に折り曲げた。
バキンッ
「うぐっぅ」
「オマエも負けず嫌いよね」
由衣が影狼に言った。
由衣や風香の、影狼に対する呼称が変わっていた。
「脱臼はそのままなんだよね」
涼子が由衣を見上げて訊いた。
「うん、顎は戻しといたけど」
由衣が言うと、涼子は立ち上がって影狼を見下ろす。
五本の指、手首、肘を折られ、肩は脱臼。
右腕が自分のものでは無いかのような喪失感と絶え間ない激痛。
影狼は必死で声を出さずに耐え続ける。
涼子が影狼の右腕をボールでも蹴るように思いっきり蹴り上げた。
「ぐああぁぁぁぁっ」
耐え切れず影狼の叫び声が響く。
「凄い声♪今日一番だね」
由衣が笑う。
「こいつ強情っ」
涼子が苛立ちを見せて呟く。
「だから素直になるように調教するんでしょ」
風香が楽しそうに言った。

「とりあえず、鞭を打ちたいな」
涼子が言った。
「私もやる」
風香も同意する。
由衣の返事を待たずに、二人は通学鞄へ自分の鞭を取りに言った。

由衣は影狼の顔の横に屈んだ。
「ふふっ、あの娘たちの鞭は凄いよ」
影狼は幼少期より隠れ里で育ったため、外界の学校へは行っていないが。
しかし、学校教育の一環として「鞭打ち」があるということは聞いている。
「三年生含めても、あの娘たちの実力は校内でトップ20には入ると思う」
「お待たせ〜」
「楽しみ〜」
二人が戻ってきた。そして三人で影狼を囲んで見下ろす。
影狼は骨折の痛みに加え肩と股関節の脱臼のため、いまだ立ち上がれずにうつ伏せに転がったままだ。
風香の手には艶のある黒色の一本鞭、涼子は白地に赤でラフにペイントされた一本鞭。
そう見えたが、しかし涼子の鞭の「赤」はペイントでは無かった。
「ちゃんと拭きなよ」
由衣が笑った。
ペイントのように見えたのは血液の付着だったのだ。
「だって六時間目に使ったばっかりなんだもん。皮膚や肉が付着すると取れにくいし」
涼子が頬を膨らませた。
「私は今日は使ってないから、ちょっと欲求不満かも」
風香が言う。
「ふふ、いいこと教えたげる」
由衣が笑う。
「涼子は今日、あの鞭で一人殺してるのよ」
「でも、入学してからの数なら私の方が多いよ」
と風香が負けずに言った。

男がモノのような扱われ、簡単に殺されるようになった背景には出生率の差もあった。
ウィルスの影響か、現在は生まれてくる子供の約九割が男だった。
女の子が生まれた場合は母親が育て、男の子の場合は精子の提供者が保護責任者として育てる。
そして精子の提供者がすでに処分されていれば収容施設で育てられる。
生まれた時点での間引きは行われていない。
そのため、小学校で40人クラスだとすると、そのクラスには基本的に女子は四〜五人しかいない。
中学へ入学した時点では、まだほぼ同じ割合をキープしているが、しかし卒業間際のクラスを覗くと男子が若干減っていることに気付く。
高校までが義務教育となっており、由衣の通う高校では、毎年女子が100人、男子が300人入学する。
しかし、今年の卒業生を見ると、女子生徒が入学者と同じく100人なのに対し、男子生徒は96人に減っている。
これは、学年が上がるにつれて男子の致死率が上がるのが原因だった。
それは授業中だけでなく、イジメやクラブ活動なども原因となっている。
つまり、3年前に入学した男子生徒のうちの204人が、卒業を待たずに死亡した事になる。
そのような状況から、社会に出ている男は必然的に丈夫な男だという事になる。
尚、大学への入学資格は女性にしか与えられていないが、キャンパスを歩くと、たまに男の悲鳴が響いてくることがある。
サークルやクラブ活動、個人的な実験などのために拉致された男や、授業のために買われてきた男の声だ。
今この国では、特別に残酷ではない女性でも男を殺すことに抵抗を示す者は殆どいなかった。
心優しい人間でも雑草を抜く時に躊躇う者はいない。
生まれた時からの教育は、女性にとっての男というモノを道端の雑草と同じ次元にしていた。

「・・・俺も殺せばいいさ」
影狼が呟いた。
「いいよ、殺してあげる」
由衣が影狼の顔に足を乗せて言った。
「でも、その前に隠れ里の位置と戦力を教えて」
影狼は自虐的に笑う。
「隠れ里には俺よりずっと強い男が何人もいる。剣介さんのとこみたいに簡単に負けたりはしないだろう」
「へぇ、楽しみ♪」
と由衣が喜ぶ。
「しかし、それでも俺は仲間を売ったりはしない。時間の無駄だ」
由衣は少し考えるような仕草を見せる。
「じゃ、話したら拷問しないって言ったらどう?」
足を顔から降ろし、小悪魔のような笑みで言った。
隠れ里の入り口を守る四天王は自分とは別格の強さだ。簡単には進入を許さないだろう。
ふいに涼子の血と肉が付着した鞭が脳裏に浮かんだ。
しかし・・・。
「ふざけるなよ、俺は仲間を売ってまで助かろうとは思わない」
「ふふっ」
涼子が鼻で笑う。
「その格好良い台詞が出るまでに少し迷ってたみたいだね」
続いて発せされた風香の言葉に影狼は屈辱で震える。
「まぁまぁ風香、気付かなかったことにしてあげようよ」
とくすくすと笑う由衣。
小娘どもがっ!
しかし、そんな怒りも持続しない。
この女子高生たちに一方的に痛めつけられた事実。そして言葉どおりもう手も足も出ない。
あとは嬲られた挙句の死を待つだけだ。
彼の最後のプライドは隠れ里に関しての黙秘を続けることだけだ。
「ま、話したって拷問が虐待に変わるだけだったりするんだけどね♪」
と由衣が笑う。
「由衣、楽しそうね」
と微笑む涼子も劣らず楽しそうだ。
「戦闘に向いてないくせに特殊警察に合格した由衣の真骨頂は、拷問と虐待だからね」
「風香ちゃん、もしかしてバカにしてる?」
「まさか、尊敬してるよ」
傍らで涼子が笑った。

「風香、涼子、こいつを立たせて」
由衣が行動を開始した。
「どうするの?」
風香が影狼に肩を貸して起き上がらせる。涼子も反対側に回って支えた。
「あぐっ」
「そう言えば、こっちは折れてたわね」
涼子は自分がほんの数分前にやった残虐行為の結果を、まるで他人事のように言った。
「どうすればいい?」
風香が聞く。
「とりあえず、あっちの壁んとこまで連れてってよ」
言って由衣は一度部屋を出て行く。
影狼は股関節を脱かれているので自力では歩けない。
ズッズッズルッ
そのため、両脇を二人の女子高生に抱えられて壁まで引きずられて行く。
「さぁ、楽しませてねっ」
影狼を引き摺りながら涼子が微笑む。
彼女はもう明日の朝練のことなど忘れている。
やがて影狼は壁際まで連れて来られた。
「せ〜の」
「しょっと」
風香と涼子が影狼を投げ捨てた。
「引き摺って来た方が楽だったかも」
「そだね」
言って二人は壁を眺めた。
「ははぁ、由衣がどうするつもりか、わかったよ」
「おなじく」
同意し、風香は足元でうなだれている影狼の髪の毛を掴んだ。
「ほら、見てみ」
影狼の髪を持ち上げ、無理やり壁を見上げさせる。
風香の身長よりも頭ふたつくらい高い位置に、目立たないが無数の穴が空いている。
「何の穴だかわかる?」
しかし影狼の「常識」にない範囲なので見当がつかない。
「おまたせ〜」
入り口から声が聞こえ、由衣が大きめの鞄を抱えて戻ってきた。
「あ、何するかわかったぁ?」
由衣が楽しそうに笑う。
「穴が増えるのよね」
と涼子が言った。
「そゆこと」
笑いながら由衣が鞄から拳銃に似た形のモノを取り出す。
影狼にとっては初めてみるモノだが、何かの工具のように見える。
由衣が三人の傍まで歩いてき、影狼にそれを見せる。
それには、拳銃と同じようにトリガーがついていて、由衣の指がそこに掛かっていた。
「うふふ、なにかわかるぅ?」
由衣の顔はピンク色に上気し、悪魔的な色気を感じさせる。
影狼は答えない。しかし、それが何のための工具なのかは理解した。
由衣は風香と涼子を交互に見る。
「ね、お願い」
「はいよっ」
と風香は元気に返事をして影狼を立たせる。
「ンフフッ」
涼子も楽しそうに笑って手伝う。
二人の美少女によって、影狼は壁に貼り付くように立たされる。
二人の少女は影狼を立たせると、それぞれ片手で影狼の手首を掴み、掌を大きく開かせて壁に密着させた。
肩と水平より少し上の位置に固定している。脱臼している影狼にとってこの位置は辛い。
カチャッ
背後で音が聞こえたが、影狼の目にはコンクリートの壁しか見えない。
「知ってるかも知れないけどね」
由衣の声が聞こえた。影狼に話しているらしい。
由衣はその工具の先を影狼の左の手の甲にピタリと押し付ける。
「これはただの大工道具」
パァンッ
「ぐわぁぁっ」
「あははっ」
笑いながら風香が手を放した。手を放しても影狼の掌は壁から離れない。
影狼の掌は、風香が支える代わりに太い釘が刺さり、壁に縫い付けられていた。
「ただの釘打機よ。でも、フロアタッカーをあたし用に改造したからすっごく強力だけどね♪」
影狼の手の甲に刺さった釘のふちから血がゆっくりと流れた。
由衣が笑う。少し息遣いが荒い。サディスティックな少女はこの残虐行為に興奮しているのだ。
この姿勢で固定される事により、脱臼している肩を襲う絶え間ない激痛も辛かった。
「由衣、はやくこっちもお願い」
影狼の右手を押さえている涼子が言った。
左手に釘を打ちつけられた事により、身体が震えたため、涼子は先程よりも力を込めて影狼の手を押さえている。
右は既に肘と手首と五本の指を涼子に折られているので、押さえられているたげで激痛が走り続ける。
「はい、いくよっ」
由衣が右手の甲にフロアタッカーの先を着ける。
パァンッ
「がぁぁっ」
振動が風香に外された肩だけでなく涼子に折られた肘、手首、指にも伝わり、痛みは左手の非ではなかった。
「ぐっぅうぅ」
「ふふふ、痛かったみたい」
涼子が笑いながら手を放す。
股関節を脱臼させられているため、自力では立てないはずの影狼だが、風香と涼子が放れても壁に貼り付いたままだ。
「足もいっとく?」
由衣が提案した。影狼の両脚はギリギリのところで床に着いている。
その足に体重が掛かるたびに影狼に激痛が走る。
「釘を打ち付けて支えるより、このままの方がつらいんじゃない?」
涼子が鼻で笑った。
「でも一本ずつじゃ不安だね」
風香が言った。視線は由衣が持つフロアタッカー。
「やりたいだけでしょ」
由衣が呆れて笑った。
「わかっちゃった?」
風香が舌を出した。

風香が影狼の後頭部を両手で掴み、右手が見えるように首を曲げた。
「えへへっ」
楽しそうに笑ってフロアタッカーの先を男の手の甲に添えた。
影狼が残された歯を食いしばって痛みに耐える準備をする。
そこへ・・・、
ボグッ
影狼の股間を涼子が背後から思い切り蹴り上げた。
「がっふぅぅぅああぁぅぅっ」
影狼の下半身がやや浮き上がった。
「あはははっ」
由衣が笑う。
予想外の攻撃、経験したことの無い激痛と、内臓が収縮するような感じで吐き気が襲う。
影狼は下半身をくねらせて悶える。
「おもしろすぎ〜」
加害者の涼子も満足気だ。
再び足が地面に着くと脱臼の苦しみに加え、手が引っ張られた事による、肩、肘、手首、指、甲の激痛。
影狼は全身のどこに激痛が走っているのかすらわからない程の地獄の苦しみを味わう。
パァンッ
完全に失念していた手の甲に釘が一本増えた。
「あぐっ」
影狼は全身を痙攣させて意識を失いかける。
「あがっ」
しかし脱力をすることにより全身に激痛が遅い、気を失うことさえ許されない。
「あといっぽん〜♪」
風香が口ずさんで左手の甲へ向かう。
影狼が反射的に左を向こうとした瞬間、
パァンッ
風香は釘を影狼の手の甲に打ち込んだ。
「あぎっ」
影狼は痛みに苦しむ事によって更なる激痛が襲う事を理解し、身動きせずに耐える。
「じゃ、次はわたし」
涼子が言った。予想通りの言葉だった。

既に両手とも甲から2本ずつの釘が突き出ている。
涼子は影狼の右腕を持ち、軽く引っ張ってみた。
「ぐっ」
掌はしっかり固定されていて壁から外れそうな気配は無かった。
「なんか、二本で十分かも」
涼子には珍しく控えめな言葉。
「でも、暴れたらわかんないよ」
由衣が言う。
「二本が平行じゃないから、たぶん簡単には抜けないよ」
言いながら涼子は指で釘の頭を弾く。
それなりの痛みが影狼を襲うが、かろうじて声を出さずに耐える。
「じゃ、やめとくの?」
風香が意外そうに尋ねると涼子が頷いた。
「うん、やめとくよ。痛みにも慣れて、もうあまり意味無いと思うし」
と言い、フロアタッカーを下げていく。
影狼がフロアタッカーを目で追っていると、それは手の甲から手首をなぞり、前腕部へ入ったところでピタリと止まった。
「だからわたしはここにする♪」
バシュンッ
「あがぁぁっぎっひ」
影狼の叫び声が響いた。彼の前腕部から釘が生えている。
痛みに悶えたことにより、再度全身に激痛が響く。
「あっは、やっぱり涼子だなぁ」
「期待を裏切らないね♪」
由衣と風香が喜ぶ。
「あぐっうっ」
手の甲よりも多く血が流れている。
苦しむ男を尻目に涼子は左手に回った。
バシュンッ
「ぐうぅっ」
「はい、こっちも終わり」
もちろん、左腕も前腕部に突き刺した。
痛みに耐える影狼に、少女たちは哀れみの目を向ける。
「だから男は素直に女に跪いとけばいいのに」
と由衣。
「あんたほど丈夫だったら、長生きできたかもしんないのにね」
と風香は残念そうに言う。
「わたしの従姉妹なんかは、丈夫なのを壊すのが面白いって言ってたけど」
「さすが涼子の従姉妹」
二人が同時に言った。
「あたしは精神的に廃人にするのがスキかも♪」
「私は肉体的に屈服させて奴隷にしたい」
由衣と風香も自分の趣向を話す。
「奴隷ってか、嫌がる男を便器にするのがいいんだけどね」
風香が笑う。
影狼の脳裏に剣介の死に際が浮かんだ。
剣介は全ての情報を引き出されてから奴隷にされた。
そして最期は由衣の小水で窒息させられ、顔面にヒップドロップを落とされて絶命した。
俺は、あんな最期はいやだ・・・。
今の影狼の残された最後の望みは「拷問中の死」だった。
「あ、あいつ落ち着いてきたみたい」
風香が影狼の様子を見て言った。
「じゃあ、もう一巡やっとく?」
由衣が笑った。

数分後・・・。
影狼の口からうめき声が漏れていた。
彼の両手の甲には釘が五本ずつ突き刺さり、掌を完璧に壁に固定している。
そして両の前腕部には縦に等間隔に三本の釘、上腕部にも一本ずつ釘が刺さっていた。
「ぐ・・うぅ・・」
影狼は収まらない痛みに歯を食いしばって耐えていた。
「なんか、あんまり鳴かなくなってきたね」
風香がつまらなさそうに言った。
「じゃ、そろそろ本番、始めようよ」
言って涼子が壁に背を向けて歩き出した。
由衣は壁に貼り付く影狼に近寄ると、前腕部の傷口にぺろっと舌を這わせる。
「ふふ、男の血の味って好きだぁ♪」
言って顔を上げると、その傷口へ両手をかざした。
青い光が由衣の掌を包み込む。
「釘が抜けないようにね」
腕に刺さった釘の周りの肉がみるみるうちに盛り上がり、溶接するように傷口を塞いだ。
影狼の腕の痛みが和らいだ。
由衣は同じように十八ヵ所全ての傷口を塞いでいった。
「ついでに右腕の骨折も治しといたよっ」
事実、影狼を襲う痛みは殆ど治まっている。
「あ〜疲れた〜」
言いながら由衣も涼子の後を追った。
影狼は自分の腕を見る。まるで釘と同化したようだ。
「抜くときはかなり痛いけどね」
風香が声をかける。
「でも、その頃のあんたにとったら大した痛みじゃ無いから、気にする必要は無いさ」
それを聞いた影狼の一瞬の動揺を見抜き、風香は楽しそうに由衣たちの元へ歩いていった。

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